遺品整理でバイクが出てきたら?相続の手順や処分方法について
2023/02/07
故人を偲び、遺品を片付けている最中に、かつて使用されていた「乗り物」の扱いに困ってしまうことが、あるかもしれません。処分するのか、他の誰かが使うのか、様々なパターンがあるでしょう。
しかし、どちらにしても簡単には捨てられないし、他者が使うのにも、必要な工程があるのです。
今回は乗り物が「バイク」だった場合の工程について、ご紹介します。
バイクの処分には相続手続きが必要
遺品であるバイクを処分するには相続手続きが必要となります。なぜなら、バイクの名義が故人になっている場合、他の人は使用できないからです。
使用者がおらず売却しようにも、相続手続きをしていないバイクは売ることもできません。また故人名義のままでは保険が使えないなどの、不都合が起こってしまいます。
相続手続きの主な流れは、「まず廃車手続きを行い、そのあとで名義変更を行う」です。
手続きには何が必要なのか、注意点も踏まえてご紹介します。
バイクの大きさによって手続きの場所は違う
バイクの処分には廃車手続きを行います。これはバイクを他者に譲る場合、違う人が乗る場合にも同じ手続きが必要です。他の人が乗るのに廃車手続きが必要なの?と思われるかもしれませんが、決まりですので正しい手順を踏みましょう。
バイクの処分は「種類」と「大きさ(排気量、cc)」によって、手続き先が異なります。
手続き書類は各自治体か、または陸運局に提出となりますが、どちらで手続きを行うのかは、事前に調べておきましょう。
種類・大きさごとの手続き場所について、以下にまとめました。
廃車手続するバイク | 書類の提出先 |
125ccまで:原動機付二輪車(原付バイク・スクーターなど) | 住所登録している役所 |
125ccから250ccまで:軽二輪自動車250cc超え:小型二輪自動車 | 住所管轄の陸運局 |
いずれも名義変更は廃車手続きの後になります。
例外として軽二輪自動車と小型二輪自動車は、被相続人(バイクの元所有者)と相続人(バイクを相続する人)で管轄の陸運局が共通であった場合、廃車手続きをしなくても名義変更が可能です。
廃車手続きには2種類ある
廃車手続きには「売却、または譲渡する」場合と、「すでに解体している、または乗らない」場合との2種類があります。
・売却、または譲渡する:一時抹消登録
処分方法をこれから考える場合も、こちらに含まれます。
・すでに解体している、または乗らない:永久抹消登録
また手続きは個人でも行えますが、自分でするとなると、手間も時間もかかってしまいます。忙しくて手続きにまで手が回らないという方は、司法書士へ依頼するとよいでしょう。
廃車手続きに必要な書類・持ち物と費用
廃車手続きに必要な書類・持ち物を一覧にしました。
廃車手続するバイク | 必要書類・持ち物 | かかる費用 |
原動機付二輪車 | 廃車申告書標識交付証明書ナンバープレート身分証明書相続人の印鑑(認印可) | 一時抹消登録無料 |
永久抹消登録無料 | ||
軽二輪自動車 | 軽自動車届出済証ナンバープレート相続人の印鑑(認印可) | 一時抹消登録手数料:500円~用紙代:100円~ |
永久抹消登録無料 | ||
小型二輪自動車 | 申請書(OCRシート第3号様式の2)自動車検査証ナンバープレート被相続人の印鑑 | 一時抹消登録手数料:350円用紙代:100円前後 |
永久抹消登録無料 |
名義変更に必要な書類・持ち物と費用
名義変更に必要な書類・持ち物を一覧にしました。
名義変更するバイク | 必要書類・持ち物 | かかる費用 |
原動機付二輪車 | 廃車証明書自賠責保険証明書標識交付申請書身分証明書相続人の印鑑(認印可) | 無料 |
軽二輪自動車 | 軽自動車届出済証自賠責保険証明書相続人の住民票など被相続人の印鑑相続人の印鑑(認印可) | ナンバープレート代:700円~用紙代:200円~ |
小型二輪自動車 | 自動車検査証譲渡証明書相続人の住民票など被相続人の印鑑相続人の印鑑(認印可) | ナンバープレート代:600円~ |
ローンを組んで購入したバイクは要注意
バイクをローンで購入した場合、ローンを支払い終わっていない場合はもちろん、支払い終わっていてもバイクの名義がバイクの販売店やクレジット会社になっているケースがあります。名義変更を行う前にバイクの名義が誰のものか、必ず確認しましょう。
またローンが残っていた場合は、名義変更をする前にローンを組みなおすか、ローンを一括返済する必要があります。
バイクの名義変更時には保険や防犯登録も変更しよう
廃車手続きと名義変更が終われば、相続人がバイクに対応した免許を持っていれば相続したバイクに乗っても問題ない、と思われるかもしれませんが、それは間違いです。名義変更のタイミングで、保険に関わる手続きなどを済ましておけば、万が一の際に安心です。
保険の名義変更または新規契約を行う
バイクの運転には自賠責保険の加入が義務付けられています。バイクの元の持ち主である被相続人が自賠責保険に加入しており、まだ有効期間が残っているなら保険の名義を変更しましょう。変更の手続きは、自賠責保険を契約した保険会社で可能です。
名義変更に必要な書類は、自賠責保険証明書、被相続人と相続人の実印とそれぞれの印鑑証明書、必要な事項を記入した異動承認請求書です。さらに原動機付二輪車か軽二輪自動車、言い換えれば125CC以下のバイクであれば自賠責保険シールも必要です。
名義変更ができない場合は、損害保険会社やバイクの販売店で新規の加入手続きを行いましょう。一部の損害保険会社はインターネットやコンビニでも手続き可能です。原動機付二輪車か軽二輪自動車であれば郵便局でも手続き可能です。
自賠責保険の他にも任意保険に加入していた場合にも、名義の変更や解約、新規契約を行いましょう。詳しい方法については損害保険会社に連絡してお確かめください。
防犯登録の解除、再登録を行う
防犯登録は有料で、登録するかは任意ですが、一度登録するとステッカーが配布され、登録番号は10年間警察のデータベースで管理されます。被相続人が登録済みなら一度登録を解除し、相続人の名前で再登録しましょう。
ただし有効期間内の登録の解除、再登録のいずれにも費用が必要です。
バイクは不用品買取業者へ売却しよう
バイクの買い取りは専門の業者がいますので、通常ならばそちらで買い取りをしてもらうのがおすすめです。しかし遺品整理などで存在が明らかになったバイクであれば、不用品回収業者に買い取ってもらうのがおすすめです。その理由を以下に挙げます。
買取査定を期待できる
バイクの状態によっては、不用品回収業者に、買取ってもらえる場合があります。
買取価格がつくと、不用品回収代を浮かせられるため、有効に活用しましょう。
遺品整理も同時に行える
遺品整理もできる業者へ依頼することで「遺品整理の作業代」から「バイクの買取代金」を差し引いて依頼できます。不用品をまとめて整理できるため、遺品整理に手詰まる場合には、相談してみるとよいでしょう。
時間を有効活用できる
忙しい方や、時間がない方は、業者に依頼する「代行サービス」がおすすめです。
「処分可能かどうか」や「買取り可能なものか」など、その仕訳もプロに行ってもらえるため、任せられるのが安心です。
依頼する業者によって、依頼料などは異なります。事前に調べておきましょう。
その他の処分方法について
ご紹介してきた処分方法が難しい場合には「指定取引場所」に持ち込むか「処分専門業者」へ持参しましょう。ただし、注意点もあるため、詳しくご説明します。
指定取引場所に持ち込む
バイクを公益財団法人「自動車リサイクル促進センター」の指定取引所に持ち込む方法もありますが、場所が限られています。
指定取引所が近辺にはない可能性もあるため、持ち込む前に場所の確認をしましょう。
処分専門業者へ持っていく
バイクを処分専門の業者へ、依頼することもできます。
しかし故障していたり、状態の悪い部品があったりする場合には、有料になる可能性があります。バイクの状態や品番によるため、乗り物の手入れを日頃から欠かさないことが大切です。
バイクの処分にかかる費用とは
不用品回収業者へ依頼した場合、その費用内訳は車体処分・車両費・人件費です。廃車手続きも依頼する際は、更にかかります。以下は処分にかかる費用の一例です。
・原動機付二輪車:7,000円~15,000円
・軽二輪自動車:17,000円~20,000円
・小型二輪自動車:20,000円~25,000円
行政書士への廃車手続き一式の依頼代は、5,000円~8,000円です。
バイクの種類、大きさによって費用に幅があります。
買取業者に依頼することで、費用を抑えられることがあるため、古いバイクでも査定に出すことも、おすすめします。費用は無料から約1万円です。
相続手続きが必要なものは生前整理もおすすめ
バイクのように、相続の際に一定の手続きが必要になるものについては生前整理で贈与を済ませるのもおすすめです。
生前整理は「施設に入るために」「長期的な入院が決まった」などの、家を離れなければならない際に、事前に周囲の整理・片付けをしておくことです。
生前に整理しておくことで、自分の所有物の相続手続き、名義変更の手間が省けます。
また、あらかじめ相続問題について話し合うことで、家族の負担を軽減できます。本人が亡くなられてから相続手続きをするのは、家族も大変なのです。本人を交えて話し合いができれば、本人の意思を汲むこともできます。
まとめ
バイクの処分・相続どちらを取っても、たくさんの手続きがあることがわかりました。名義をひとつ変えるだけでも、廃車手続きが必要になり、それが終わるまでは勝手に違う人が乗ることもできません。
しかし交通に関する事柄であるため「誰が所有している乗り物なのか」ということが、非常に大事になります。相続の引き継ぎは、素早く行いましょう。
今回ご紹介した方法を活用して、バイクの相続または処分は効率よく進めましょう。
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