生前対策には何をすればよい？その内容や注意点について解説

自分が亡くなった後のことについて、不安を感じている方は多く居ます。

遺族に迷惑を掛けないためには、自分が持っている財産を適切な処理が重要です。

このページでは、遺産処理の方法の「生前対策」について解説します。

生前対策には計画を立てる事が重要

生前対策とは、自分が生きている間に死後のことを考えて、自分の財産の処理方法を決めておくことです。

ここで言う財産とは、自分が持っている物理的な物だけでなく、銀行口座や所有している株式なども含まれます。

処理には法的な手続きが必要になる物もあるため、面倒な手続きをスムーズに進められるように、あらかじめ計画を立てておくことが重要です。

なるべく健康な間に行っておく

自分が所有している財産の種類や量にもよりますが、生前対策の処理が短時間で終わることはほぼありません。老化による怪我や病気など、健康状態に悪影響がある状態の場合は、満足のいく生前対策を達成することは困難です。

生前対策には遺書の作成や遺産相続に向けての家族との話し合いなど、時間と手間の掛かる作業もあるため、なるべく自分が健康な間に準備しておくことをおすすめします。

もし既に健康面に不安がある場合は、積極的に周囲のサポートを得るようにしましょう。

遺族が困らないように行う対策

生前対策の目的は、自分が残した財産で遺族が困らないようにすることです。

そのためには、自分が現在所有している財産の状況を把握し、さまざまな財産の的確な処理が求められます。

ここからは、生前対策の具体的な方法や利点について解説します。

節税にもなる生前贈与

生きている間に親族や特定の方に自分の資産を贈与する「生前贈与」は、生前対策になると共に節税効果もありおすすめです。

通常、亡くなられた方から遺産を相続する際には相続税が発生し、国に税金を納めなければいけません。この相続税の金額は財産の多さに比例するため、生前贈与で財産を事前に減らしておけば、多くの相続税を支払わずに済みます。

ただ、生前贈与の場合は「贈与税」が発生するため、生前贈与をする際にはあらかじめ発生する税金を計算しておきましょう。

遺族に渡す遺言書の作成

遺言状の作成は生前対策の基本です。本人の明確な意思として残る遺言状は、もし相続トラブルが発生して裁判が起きた際には、その内容が主張の根拠として認められます。

そのため、生前対策における遺言状は家族に向けた単なる手紙ではなく、財産の処理方法に直結する重要な書類です。

遺言状の内容が相続トラブルの原因になるケースもあり、もし問題のある遺言状を作成した場合は遺族の負担増につながります。

作成の際には財産の種類や家族関係のことも含めて、慎重に内容を吟味する必要があります。

もしもの時の為に後見人を決めておく

人間は肉体の健康面に問題が無くても、認知症のような精神的疾患の影響で、物事の正常な判断が下せなくなることのある生き物です。財産を持っている方にそのような不幸が起きると、財産に関する何らかの契約を他者と結ぶ際に正常な判断ができず、不利な内容で契約が交わされてしまうこともあり危険です。

そのような事態を避けるため、自分にもしものことがあった時のことを想定して、あらかじめ後見人を決めておくとよいでしょう。

後見人には本人に代わって契約を交わす権利が与えられるため、財産を適切に管理できます。

後見人と併せて検討したいのが「家族信託」です。
家族信託とは「認知症による資産凍結」を防ぐ法的制度です。
認知症になると意思能力を喪失したと判断されてしまい、いわゆる「資産凍結」状態になり
・銀行預金を引き下ろせない、定期預金を解約できない
・自宅を売却できない、賃貸に出せない
・株式など資産の整理、処分ができない
・生前の相続対策ができない
など、文字通り資産が凍結されてしまいます。
このような資産凍結を防ぐために、新しい法的制度である「家族信託」が2016年頃から注目されています。
詳しくはこちらをご覧ください：
https://sma-shin.com/family_trust/

財産の処理は適切に行う

財産には貯金しているお金のような直接的な価値のあるものだけでなく、借金や債務など処理する際にお金が必要なものもあります。借金や債務の存在に気付かないまま遺族が故人の財産を相続してしまうと、後々金銭トラブルに発展します。

税前対策では、借金や債務も含めた財産を適切に把握し、処理することを心掛けましょう。

様々な財産の処理方法を決める

生前対策では最初に財産の整理から始めると、後で混乱せずに済みます。

遺族が故人から相続できる財産に該当する物は、「お金や株式」「物品」「権利」、の3つです。お金や株式と権利については、契約や税金関係などに関する書類上の手続きで処理されるため、トラブルがなければスムーズに処理できます。

一方、故人の遺品でもある物品については、遺族の心情もあり整理や処理方法を決める際に時間が掛かることもあります。そのため遺族が遺品の処分方法で迷わないように、生前対策であらかじめ必要な物と不要な物を決めておくことが重要です。

財産が多い場合には税金に注意

前述の通り、遺産相続の際に発生する税金は、相続する財産の価値に比例します。特に非常に多くの財産を相続する場合は、その税金も膨大になるため、節税対策の重要性が増します。既に多くの財産を持っており、それを遺族へ相続することを決めている方は、あらかじめ対策を考えておきましょう。

節税対策として前述の生前贈与や、配偶者のみが利用できる特例の利用をおすすめします。

また相続税は法改正の影響で支払う税金の金額や、課税の対象になる資産額の範囲が変わることもあります。

以前は有効だった節税対策が、現在では使えなくなることもあるため、常に最新情報の確認が重要です。

自分だけで生前対策を適切に行うのは難しい理由

生前対策で自分の財産に関する処理を、全て本人の力だけで実行することは困難です。

財産を処理する際に思わぬトラブルが発生してしまうこともあり、その対応に苦労する時があります。

ここからは、一人での生前対策が難しい理由や、発生するトラブルの内容について解説します。

自分では処理方法が分からない財産の存在

生前対策で物品を整理する際には、通常の不用品を処分する方法と作業内容は同じで、難易度はそれほど高くありません。

一方、「お金や株式」「土地や建物」については、その適切な処理には法的な知識が必要です。法的な知識が不十分な状態で税金関係の作業を進めてしまうと、知らぬ間に脱税行為につながることがあります。

故人が滞納した税金はその遺産を相続した方に支払義務が発生するため、財産の処理方法が分からない状態を放置しておくと、結果的に遺族の負担になりかねません。

財産の分配に関する遺族間の問題

財産を巡る遺族のトラブルは、ある程度は財産処理の際に付き物といってよいでしょう。

財産相続におけるトラブルは、故人と遺族間の関係や、それぞれの遺族に分配される財産の額などが原因で発生します。問題が深刻化すると裁判沙汰にまで発展することもあり、これの回避が生前対策の目的の一つです。

相続する相手やその額などを適切に決めて財産を分配するには、多くの時間と労力が掛かります。それぞれの親族とよく話し合い、内容に関して確実に同意を得ることは、一人では難しい作業です。

誰が相続人なのか不透明な場合

財産を所有している方が、家族や親族と良好な関係でないことが原因で、相続人を明確に決めていない場合があります。

死後に残った財産は遺言書の内容次第で、その大部分を任意の方や団体に相続させることが可能ですので、相続人を決めること自体は簡単にできます。ただ、身内との相談や同意なしに財産の処理を決めてしまうことは、相続トラブルが発生する原因の一つです。

特に身内との関係がよくない場合は、裁判所に遺言書の内容に反対する訴えを起こされてしまい、自分が望んだ通りの相続が全くできないこともあります。

複雑な仕事が多く手間が掛かる

生前対策は、多くの事情や処理すべき書類などが関わる作業です。

財産の正確な把握とその処理方法を決めるだけでも難しく、大量の書類作成や関係者との話し合いなど、全ての作業を終えるには多くの労力が必要です。これらの作業には時間も掛かりますが、仕事を持っている方は十分な作業時間が確保できず、作業が滞ることもあります。

また、書類に不備が見つかることや、関係者との交渉がうまくいかない場面もあります。トラブルが発生した際には、専門的な知識が必要になる場面もあるため、知識のない初心者が対応することは避けた方が無難です。

生前対策にはプロの力を借りることをおすすめ

法律や税金、遺族間でのトラブルなど、生前対策には考慮しておいたほうがよい問題に溢れています。

それらの問題に対応するために、生前対策の際にはプロの力を借りることがおすすめです。

ここからは、生前対策に役立つ専門家とそのサポート内容について解説します。

遺産の処理について相談できる「税理士」

遺産を相続する際には税金が掛かります。税金は適切に支払わなければ滞納状態になるため、計算を間違えないことが重要です。

税理士は遺産相続に掛かる税金の算出や書類の作成に力を貸してもらえるだけでなく、節税のアドバイスも貰えるなど、生前対策には欠かせない存在です。

ただ、それほど多くの財産を所有していない場合は、支払う税金も少額で済む場合もあります。その場合は税理士を雇っても任せる仕事があまりなく、余分な費用を支払うことになるため、税理士を雇う前に自分の財産状況を把握しておきましょう。

問題に対処してくれる「弁護士」や「司法書士」

弁護士や司法書士は法律の専門家です。

生前対策は金銭や権利など多くの価値がある物を、自分以外の他者にわたす行為でもあるため、時にはその過程でトラブルが多く発生します。そうしたトラブルが発生した際に、解決に役立ってくれる専門家が弁護士や司法書士です。

彼らは相続ができる物とできない物を分類し、生前対策の作業に法的な根拠を与えてくれるなど、相続トラブル以外でも力を貸してもらえます。長期間のサポートを頼む際の費用はそれなりに掛かりますが、法律の専門家を雇うことは、トラブルを避ける有効な方法です。

遺産相続をサポートしている「銀行」

近年では生前対策の作業をサポートする銀行も存在します。

銀行はお金を取り扱う場所であり、資産管理についてのサポートを提供している銀行もあります。生前対策についてのサポートもその一環として提供されており、銀行に所属している専門家が作業を手伝ってもらえるため、利用してみるのも選択肢の一つです。

ただ、銀行以外の司法書士や弁護士事務所も生前対策のサポートを提供しており、銀行と比べてそちらの方が手厚いサポートを受けれる場合もあります。

こうしたサービスを利用する際には比較し、自分の状態や条件に合わせて選択するようにしましょう。

プロに生前対策を任せた場合に掛かる費用

弁護士や税理士のような専門家を雇う場合には、費用について考えておかなければいけません。

専門家に支払う費用は、利用する期間や任せる業務の内容で変動します。

ここからは、生前対策で専門家を雇う場合、どの程度の費用が発生するのかについて解説します。

相続する財産の金額と費用の関係

前述の通り、生前対策に掛かる費用は財産の多さに比例します。これは、弁護士や税理士などの専門家に支払う報酬を、依頼人が所有する財産の総額を基に算出する事業所が多いためです。

また、銀行が提供する生前対策サービスの料金は依頼人が所有する財産の大小に関わらず、一律の金額に設定されている場合があります。そのため、財産が非常に多く多額の費用の発生が見込まれる方には、銀行の生前対策サービスがおすすめです。

一方で財産をそれほど多く所有していない方は、費用が抑えられる弁護士事務所を利用するとよいでしょう。

明確な相場の基準は無い

生前対策で専門家を雇う際の金額には法的な規制が無いため、明確な相場は存在しません。これは、遺産相続は依頼人ごとに事情が大きく異なり、明確な基準を定めにくいことが原因です。

例えば、お金だけでなく不動産や企業など、財産の種類が多い方はその処理も複雑になり費用が増します。また、もし相続トラブルが起きた際には、それに対応するための費用が追加で発生します。

そのため、生前対策の正確な費用は見積もりを出さなければ分かりませんが、最低でも10万円程度は必要になると考えておきましょう。

まとめ

価値のある物だけでなく、借金や負債などもまとめて相続されてしまう遺産相続は、相続人の人生に大きな影響を与えます。

そのため、生前対策で早めに相続に向けた作業を開始しておけば、もしものことがあっても問題なく相続を終えられます。

特に死後は遺品となり、運搬や不用品の選別に手間が掛かる物品については、生きている間に整理して少しでも減らしておくことが重要です。

GoodServiceでは、遺品整理や生前対策に関するサービスを提供しております。

不用品の処理に関する見積もりや相談など、困った際には是非ご利用をおすすめします。

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