成年後見制度(せいねんこうけんせいど)
成年後見制度とは知的障害、認知症、精神障害などにより自己判断が衰えてしまった高齢者の判断補助などをするために作られたものです。対象者の程度によって3種類の補助の付き方があり、それぞれできることとできないことがあります。成年後見制度を受けられる対象となる人は既に成人をしていて自己判断ができなくなった人です。成年後見制度を作ることによって高齢者が被害に遭いやすい悪徳商法などから守ることができます。成年後見制度があっても最低限の生活(日用品の買い物であったり洋服を買いに行くなど)は本人の自由で行うことができます。あくまで高額なものの扱いや生活の保護をするのが成年後見制度です。後見人を探す際には本人が健康で判断能力があるうちに後見人を選んで家庭裁判所に申し立てに行く「任意後見」と本人が既に自己判断がつかなくなってしまい、配偶者や相続人が家庭裁判所に申し立てをしに行く「法的後見」の2種類があります。これらの制度を申し立てできる人は本人はもちろん配偶者、四親等以内の親族、検察官、市区町村長等です。身寄りがなかったり親族に適任者がいない場合には弁護士などの法的代理人が後見人として選出されます。申し立てだけであれば費用は1万円程度ですが診断書や鑑定費用で2万~18万円とかなり幅がありますがある程度の費用が発生します。
成年後見人になれないのは以下の該当者です。
・未成年
・破産者
・行方不明者
・家庭裁判所でかつて法定代理人、補佐、補助人に該当した者
・本人に対して訴訟をしている配偶者や血縁者
・過去、現在において不正な行為をした等後見人には適さないと判断された者
目次
成年後見制度の種類
成年後見制度の種類は3つあります。内容はあくまでも目安になっています。
・後見…判断能力が全くない人が対象になります。(重度の認知症等)制度を受ける本人は医師、税理士、会社の役員や公務員の資格がはく奪されます。また後見人は被対象者の財産管理の代理人、取り消しをする権限が得られます。
・保佐…判断能力がほとんどない人(軽度の認知症等)が対象になります。ほとんど後見と同じで資格もはく奪されますが補佐は申し立てによる権限が制限されています。
・補助…判断能力が少ない人(認知症の始まり程度等)が対象になります。後見や補佐と違って医師、税理士、会社の役員や公務員の資格ははく奪されません。またこちらも補佐同様、申し立てによる権限がある程度制限されています。
成年後見人になったとしても排せつや食事等の介助や戸籍の変更(婚姻や離婚、住所の変更など)、遺言書作成、医療関係の同意書等、本人の意思のない重要な行為はできません。また財産管理はできますが不動産の対応に関しては家庭裁判所等の申請が必要になります。後見人は公的な業務の為、無断で財産や資産を使用したり処分をしたりすると横領行為とみなされます。無断で行わず家庭裁判所に申請を出してからにしましょう。
メリットとデメリット
最初にも伝えた通り、個人情報や金銭的な管理をしてもらえる且つ成年後見人には取消権があるので仮に本人が詐欺などに遭ってしまっても契約を取り消すことができます。また任意後見の場合は複数の後見人をまず選ぶことができます。選ぶ際には複数の後見人を選びそれぞれの役割に分けることも可能です。本人による自己判断ができなくなってから他者による申請をされるよりも信頼した相手に後見人になってもらえる可能性が高いのではないでしょうか。
デメリットとしてはある程度自力で生活はできてもはく奪される資格が多く今までは就けていた職でも今後は就くことができなくなります。特殊な職(医師など)に就いていた場合、また同じ職に就くことが難しくなってしまいます。ほかにも成年後見制度を取得するまでに期間がかかり少し不便に感じることもあるかもしれません。ですがほとんどデメリットがなく多少、申請や必要な書類も多く手間がかかるものにはなりますが詐欺や事件に巻き込まれることを防ぐことができるので双方にとっても大切なものではないでしょうか。