グリーフケア
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グリーフケア
予期をしていなかった死、天災や事故などによってある日突然愛しい人を亡くすことが残念ながらあります。こういった類の悲しみの準備をすることは無理に等しいです。
「グリーフ」とは深い悲しみ、悲嘆、苦悩、嘆きという意味があります。このようなネガティブな感情を「ケア」、世話や配慮、看護をしていくことで立ち直していくことを手伝うのがグリーフケアといいます。悲しみや苦しみを乗り超え立ち直り新しい人生を送ることができるようサポートします。
心情の主な流れ
遺された遺族が立ち直るには長い時間を要したり、立ち直れなかったりするのをサポートして徐々に立ち直れるようにするのがグリーフケアです。今までは大家族であったり地域社会の中で癒えることが多かったのですが近年は他人と触れ合う機会が減ったり小規模の家庭が増え、傷を癒す場が少なくなっているのが現状です。また孤独死や事故死、自殺などによる悲しみはより一層簡単に癒えるものではありません。病的にまで深い悲しみを背負うことになってしまうこともあります。そういったことを避けるべくグリーフケアは非常に重要な存在となっています。もしもトラウマになってしまったり病的に悲観的になってしまう場合だとより専門的な治癒方法も必要になってきます。人だけでなく家族と同様に接してきたペットが亡くなった悲しみに明け暮れる方の場合でもグリーフケアはもちろん必要とされています。グリーフケアは精神面の治癒をサポートすることなので具体的にどういったことをするのかは細かく決まっていません。
心の流れとしては個人差は有れど主に以下のようになっています。大切な相手が亡くなった際にひどい悲しみや苦しみが迫ってきます。まだ生きているのではないか、またすぐ会えるのではないかと思えてくるほどつらい気持ちになります。混乱状態に陥ってしまう場合もあります。心の中が故人の方がいっぱいで情緒が不安定になります。うつ状態や精神疾患、ネガティブな思考に陥ります。それから今までの故人との思い出や出来事を思い返しやり場のない後悔や怒りや様々な感情があふれかえってきます。絶望をすることだってあります。これらを「ショック期」や「喪失期」といいます。また心を閉ざしてしまったり家から出られなくなることを「閉じこもり期」といいます。
こういった心の葛藤を経て乗り越え故人の死を受け入れられるようになり、故人がいなくなった環境の適応ができるようになります。受け入れるしかないこの現状を受け入れられるようになる、このことを「更生期」といいます。こういった様々な感情が混在することで不安定な時期になることが多々あります。こういった心の戸惑いや迷いを寄り添って援助していくことがグリーフケアです。受け入れられるようになるまでの期間は個人差があります。ただ全員に言えることはすぐに回復することは難しく多種多様な感情を受け入れたり治めていく必要がありとても心苦しいでしょう。記念日や思い出のある場所を見る度、思い出してしまうのでとても親密な相手の場合はより一層心の回復に時間がかかります。このことを「記念日反応」といいます。こういった心の中の葛藤で自分を追い詰めてしまわないためにもグリーフケアはとても大切なことです。
心だけでなく体にも変化が訪れることがあります。例えば体力の低下や疲労感をいつも以上に感じたり自律神経失調症になってしまったり体重が大幅に減ってしまったりすることもあります。何もしていないときに涙があふれてきたりどうしようもない不安感に襲われることもあります。こういった心や体の変化は一度収まっても数年後にまた現れることもあるのでグリーフケアは定期的に必要になります。業者に頼むだけでなく周りの親しい人と話して気持ちを共有をしたり日記をつけて気持ちを整理したりすることで心の回復が見られるようになります。カウンセリングをしたり訪問看護などで話を聞いたり電話で聞くこともできます。これらの感情の起伏や体の変化はいたって普通のことで怒ってもおかしくないことです。悲観的になりすぎずゆっくり時間をかけて受け入れていくことが大切です。
もし自分が遺族側になった時
こういった心情の変化があることを知っておくと幾分心が落ち着くのではないでしょうか。また周りにも助けを求めたり相談をすることによって心の治癒が進むのではないでしょうか。遺族の自助会も地域によっては行っています。そちらでは顔見知りの顔がいないこともありお互いに今まで人に言えなかったことや思い詰めていたことを話すことができます。力を借りることによって少しずつ受け入れられるのではないでしょうか。あまりにも心が休まらない場合にはグリーフケアを専門的に行っている業者や医療機関もあるのでその際にはよく調べて自分に合った業者を探すようにしましょう。
また支える側として大切なことは「さりげなく」寄り添うことです。遺族の方も立ち直らなければいけないことは十分に理解しています。今まで通り仕事に向かったり家事をしたりいつもどおりにしなくてはと強く感じていることでしょう。それを早く回復させようとサポートするのではなく相手に配慮されない程度に寄り添うことが大切です。何をすればと戸惑うこともあるとは思いますが基本的には遺族の感情や気持ちを否定したり抑えようとせず吐き出させて気持ちの整理をしてもらうことが主です。話を親身に聞いて共有するだけでも気持ちは少しでも和らいでいくのではないでしょうか。グリーフケアはもちろん専門家による対応もできますし家族や友人など資格取得者でなくても行うことができます。