特別管理産業廃棄物(とくべつかんりさんぎょうはいきぶつ)
目次
「特別管理産業廃棄物」とは?
特別管理産業廃棄物については、廃棄物処理法で次のように定められています。
廃棄物処理法 第2条(定義)第5項
この法律において「特別管理産業廃棄物」とは、産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。
具体的には廃油、廃酸、廃アルカリ、感染性産業廃棄物、特定有害産業廃棄物の5種類から成り、なかでも特定有害産業廃棄物については、有害物質の種類、廃棄物の種類や排出元の業種や施設によってさらに細かく分類されます。特定有害産業廃棄物は、廃PCB等、指定下水道汚泥、廃石綿等の他、鉱さい、燃え殻、ばいじん、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリのうち、法律で定められた特定の施設等から排出される物で、有害物質について環境省令で定める基準に適合しない物がこれに当たります。
中でも特に、燃え殻、ばいじん、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリの5種類の廃棄物は排出元の業種や施設の種類によって、それぞれ管理すべき有害物質が定められるなど、非常に複雑な仕組みになっています。特定の施設等については廃棄物処理法施行令別表第三に定められていますが、大気汚染防止法やダイオキシン類対策特別措置法、水質汚濁防止法等の法律も参照する必要があり、これらを確認して理解するのはかなり難解です。環境省や各自治体のWEBサイトなどに一覧表が掲載されていますので、詳しくはそちらを参考にしてみるとよいでしょう。
管理するために必要なスタッフの資格
事業活動により特別管理産業廃棄物を排出する事業場を有する事業者は、特別管理産業廃棄物の処理に関する業務を適切に行うため、事業場ごとに「特別管理産業廃棄物管理責任者」を選任しなければなりません。責任者に選任される資格としては、学歴や廃棄物の処理に関する技術上の実務経験などの要件が定められています。また、感染性産業廃棄物についてはその性質上、医師や歯科医師、2年以上環境衛生指導員の職にあった者、大学や高等専門学校において医学、薬学、保健学、衛生学もしくは獣医学の課程を修めて卒業した者、またはこれと同等以上の知識を有すると認められる者など、より詳細な要件が求められます。
特別管理産業廃棄物管理責任者の役割は、所属する事業場での特別管理産業廃棄物の排出状況の把握や、処理計画の立案などを行い、特別管理産業廃棄物に係る管理全般にわたる業務を廃棄物処理法に基づき適正に遂行することです。
また、事業活動に伴い特別管理産業廃棄物を生ずる事業者は、運搬や処分に関する事項を記載した帳簿を作成しなければなりません。
価値ある金属の再利用など、今後はリサイクルの可能性追求も
特別管理産業廃棄物等は有害物質が含まれる特性上、焼却や溶融処理された後に残る不溶物は埋め立て処分されることが大半ですが、特別管理産業廃棄物の中には鉛やセレンなど、価値のある金属が含まれていることもあります。
今後はこれらの物質を回収して、再び原料としてリサイクルできる可能性についても注目度が高まってくることでしょう。