レアメタル(れあめたる)
目次
「レアメタル」の定義とは??
ニュースなどで耳にすることも多くなった「レアメタル」。実は、国際的に定められた定義は特にありません。日本では、鉱業審議会レアメタル総合対策特別小委員会において、地球上の存在量が稀であるか、技術的・経済的な理由で抽出が困難な鉱種のうち、現に工業需要が存在する(また今後見込まれる)ため、安定供給の確保が政策的に重要なタングステン、コバルト、ニッケルやレアアース(17鉱種を総括して1鉱種としてカウント)等の31鉱種がレアメタルと定義されています。
レアメタルはどんなものに使用されているか
レアメタルは、ごく少量でも部品などの機能を飛躍的に向上させることができるため、電気電子機器や自動車、超硬工具などの高性能化を支えています。例えば次世代自動車やエアコン、テレビなどの家電製品、パソコンや携帯電話などにも用いられ、私たちの身近な物や未来を豊かにするような物にも使われています。いずれも日本の産業競争力の向上に大きく関わる製品であり、このような物に用いられているレアメタルは、日本の産業界にとって欠かせない資源と言えるでしょう。
希少価値の高さ、世界的な需要拡大など安定確保が課題
しかしながら、レアメタルは希少度や偏在性が高く、安定確保をすることが難しくなっています。資源国における資源ナショナリズムの台頭もレアメタルの供給を不安定にする要素の一つに。2010 年9月には、レアアースの最大の資源国である中国が尖閣諸島沖中国漁船衝突事件を巡り、日本に対して事実上のレアアース輸出禁止措置を行う事態も発生。波紋を呼びました。
また、中国、インドなど世界経済の発展を背景に、レアメタルの消費は世界的に拡大。レアメタルの国際需給はひっ迫し、多くのレアメタルの価格は高騰しました。さらに、その後は世界的な景気悪化により大幅に価格が下落するなど、価格についても不安定となる可能性が少なくありません。
貴重なレアメタル回収・確保のために
レアメタルなど鉱物資源の大半を海外に依存する日本では、安定確保に向けて4つの施策に力を入れています。
1)海外資源の確保
2)リサイクル
3)代替材料の開発
4)備蓄
海外資源の確保としては、資源国との関係構築、資源権益の獲得、投資の増大など、企業による取り組みも積極的に進められています。また、ナノテクノロジーなどの先進的技術による代替材料の開発も期待される他、需給の動向を踏まえながらの備蓄も必要と考えられています。
様々な施策がある中でも、特に重要視されているのがリサイクルです。日本は世界有数のレアメタル消費国でもあり、ごみとして廃棄される家電製品の中には多くのレアメタルが含まれています。これを鉱山に見立てて「都市鉱山」と呼ばれるなど、廃棄される家電製品の中には天然鉱山にも劣らない資源が含まれているとされ、その回収に力を入れることが求められています。さらに、回収した資源からの抽出技術の開発や向上も重要です。
レアメタルを含む有用金属を回収し、適正に処理するため、日本では使用済み小型家電の回収・リサイクルを促進。2013年には「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(小型家電リサイクル法)」が施行されました。この法律に基づいて、多くの自治体で回収が進められています。
廃棄物処理法の許可を得ていない無許可の不用品回収業者に引き渡すことは、適正な処理につながらない可能性があります。使用済みの家電製品は自治体や許可を受けた適正な店舗、業者などに引き渡し、有用な資源の活用に結び付けましょう。