スクラップ(すくらっぷ)
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スクラップの海外への大量輸出の問題とは
鉄などの金属の切りくず、鉄くず、くず鉄のことをスクラップと言います。また自動車などの大きな金属製品の廃物もスクラップに含まれます。
中でも近年注目を集めているのが、雑品スクラップ。これは鉄、非鉄金属、プラスチックなどを含む雑多な未解体、未選別のスクラップのことです。主に解体業者や工場、一般家庭、事業所などから使用済みとなって排出される物で、金属スクラップ、ミックスメタルと称することもあります。
この雑品スクラップが注目を集めるきっかけとなったのは、2017年に成立、公布された改正廃棄物処理法です。雑品スクラップの保管または処分においては、環境保全措置が十分に講じられないまま行われることにより、火災の発生や生活環境上の支障が課題となっていました。
また雑品スクラップが中国などへ大量に輸出され、海外でリサイクルされている事例も。鉛などの有害物質やフロンが適正管理されずに輸出されてしまうことによる国内外の環境汚染、国内でリサイクルするための法律ができている対象機器の海外への流出による家電リサイクル法の形骸化など、様々な側面から懸念が高まっていました。
そういった課題があるにもかかわらず、有害物質が基準以上あることの証明が難しく、有価な資源として取り引きされるケースが多いことから、バーゼル法(有害廃棄物の越境移動を規制するバーゼル条約の国内法)などで廃棄物として規制を及ぼすことも困難であるという背景も相まって、輸出を規制することが難しい状況となっていました。
「有害使用済機器」を適切に処理するために
そこで改正された廃棄物処理法では、使用が終了し、収集された電気電子機器の内、その一部が原材料として相当程度の価値を有し、かつ適正でない保管または処分が行われた場合に、人の健康または生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物を有害使用済機器と定義。その上で、有害使用済機器の保管または処分を業とする者に対し、都道府県知事への届出を義務付けました。さらに、政令で定める保管・処分に関する基準の遵守を義務付け。都道府県による報告徴収及び立入検査、改善命令及び措置命令の対象に追加し、これらの違反があった時は罰則の対象となることを示しました。
またこの改正では、取り引きの全体像に関する実態把握の蓄積があるリサイクル法の対象機器、つまり家電4品目及び小型家電28品目を、有害使用済機器の対象として指定しました。加えてバーゼル法も改正。環境省令で定められている物、または条約の締結国である外国で有害廃棄物とされている物は、バーゼル法基準の適正な手続きやルートによって輸出することを明確化しました。
ただし、雑品スクラップは幅広い物を指し、有害使用済機器の対象は今後随時見直し、追加されることも考えられることから、リフォーム時、不用品処分の際には注意が必要です。
不安な時には、多様な実績があり、雑品スクラップをはじめ廃棄物処理やリサイクル全般に精通している業者に相談するのがおすすめです。