煤塵(ばいじん)
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煤塵は有害なもの?「大気汚染防止法」に規定が
煤塵(ばいじん)とは、物の燃焼に伴って発生するすすや灰、燃えかすの固体粒子状物質のことで、工場の煙突から排出される煙や、鉱山、石切り場などの塵の中に含まれている物などを指します。
大気汚染防止法では、ばい煙(煤煙)の一つとして規制されており、「燃料その他のものの燃焼又は熱源としての電気の使用に伴い発生する」ものと定義。無機物、有機物、各種金属などが含まれます。なお、燃焼以外によって発生する固体粒子は、法的には「粉じん」として区別されています。
大気汚染防止法では、煤塵を排出する施設について、施設の種類や施設の規模に応じて、煤塵の排出量を規制しています。煤塵の排出基準は、一般排出基準と、9地域指定の特別排出基準があります。煤塵の排出基準に掲げられた濃度は、下記のように算出されます。
「また、ばいじんの排出基準は、温度零度・圧カ1気圧の状態に換算した排出ガス1立方メートル中のばいじんの量として定められているが、排出ガスを空気で薄めて排出することによって排出基準に適合させることを防ぐために、次式に表される標準酸素濃度補正方式が取り入れられている。」としています。
C=(21-On)/(21-Os)×Cs
この式において、C、On、OsおよびCsは、それぞれ次の値を表すものです。
C:ばいじんの量(g)
On:施設ごとに定める標準酸素濃度On(%)
Os:排出ガス中の酸素の濃度(当該濃度が20%を超える場合は、20%とする)
Cs:JISZ8808に定める方法により測定されたばいじんの量(g)
実はリサイクル可能な煤塵
煤塵は、廃棄物処理法における産業廃棄物の一つであり、特に下記の物は、「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物」を示す「特別管理廃棄物」の一つにも指定されています。
【特別管理一般廃棄物】
*ばいじん:ごみ処理施設の集じん施設で生じたばいじん
*ばいじん、燃え殻、汚泥:ダイオキシン特措法の特定施設である廃棄物焼却炉から生じたもので、ダイオキシン類を3ng/gを超えて含有するもの
【特別管理産業廃棄物(特定有害産業廃棄物)】
*ばいじん:重金属等、1,4-ジオキサン、ダイオキシン類を一定濃度を超えて含むもの
産業廃棄物の処理については、排出者責任の原則に基づき、事業者がその処理責任を負います。従って事業者は、自ら特別管理産業廃棄物処理基準に従って処理を行うか、特別管理産業廃棄物の許可業者に運搬または処分を委託しなければならないと定められています。
通常、煤塵の場合は、管理型最終処分場に直接埋められますが、廃棄物の溶融処理による無害化処理を行い、路盤材などにリサイクルされることも。煤塵を亜鉛濃度で選別して金属回収をするなどの方法によって、再利用されています。その他の処理方法としてはコンクリート固化、キレート剤を用いた固化、溶融などが挙げられます。