災害廃棄物(さいがいはいきぶつ)
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災害廃棄物は産業廃棄物??一般廃棄物??
台風や地震などの災害が発生すると、一度に大量かつ様々な種類の廃棄物が排出されます。報道などでその様子を見ていると、木材や家電、土砂など多種多様な物質が混在していることがわかります。一見すると産業廃棄物と思われがちな災害廃棄物ですが、実は一般廃棄物に分類されるのです。なぜなら、産業廃棄物の定義は事業活動によって出た廃棄物のことであり、災害は事業活動ではないからです。
近年は台風による河川の氾濫や土砂崩れなどの被害が各地で多発し、災害廃棄物の排出も深刻な問題となっています。一般廃棄物の処理は通常、各市町村など自治体が処理を行いますが、一度に大量の廃棄物を処理することは困難です。その場合、広域処理といって全国の廃棄物処理施設が処理を請け負ったり、仮設処理施設が設置されたりといった対策が取られることがあります。
災害廃棄物の12種類の分別とは
廃棄物が長期にわたって放置されるような事態が起きると、悪臭や害虫、粉じんなどが発生して、生活環境に悪影響を及ぼす可能性があります。自治体による管理や処理を円滑するためには、廃棄物の搬入時からしっかりと分別を行っておくことが重要です。
環境省の災害廃棄物対策室では、12種類の分別を勧めています。可燃系混合物、木質系混合物、金属系混合物、不燃系混合物、コンクリート化合物、廃家電等、廃自動車等、処理困難物(布団等・廃畳等)、危険物・有害物等(消火器・灯油・ガスボンベ)に分けられます。自動車、オートバイなどから発生する鉛蓄電池は火災発生の原因となるので、混ぜないように注意しましょう。
大規模災害への備え。災害廃棄物対策は?
今後も首都直下型地震や南海トラフ地震などの発生が懸念されており、巨大な災害が発生した際の災害廃棄物処理システムの構築が必要とされています。そのため、平成27年度には災害廃棄物処理支援ネットワーク(D.Waste-Net)が発足。この発足を記念して災害廃棄物対策推進シンポジウムを開催し、それ以降毎年継続しています。シンポジウムには自治体や企業、マスコミなどから200名程度が参加。過去に発生した大規模災害の実例を検証しながら、国、自治体、民間事業者のそれぞれの役割を改めて確認し、緊密に連携した体制を構築することなどを目的としています。
大規模な災害が発生した場合には、環境省から災害廃棄物の処理対策に関する情報が発表される他、被害を受けた各自治体のサイトにも廃棄物の排出に関して廃棄場所や受け付ける廃棄物の種類、搬入方法などが詳しく掲出されるので、それらを確認して対応するようにしましょう。災害発生時の被災地は混乱し、対応する職員や住民にも不安や疲労が重なっています。譲り合いや寛容の気持ちをもって、スムーズな処理が進められるよう心がけることが大切です。