汚泥(おでい)
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産業廃棄物の中で約40%を占める「汚泥」とは
汚泥とは、各種の産業活動に伴って生じた排水の処理過程で発生する廃棄物です。水中の浮遊物質が沈殿または浮上して泥状になったもので、大きく分けると有機汚泥と無機汚泥の二種類があります。下水処理場や食品工場、紙・パルプ工場等の、主として有機汚濁された排水を処理する設備で発生するのが有機汚泥。土木工事現場や浄水場、金属メッキ工場等の砂や金属成分等を多く含む排水を処理する設備で発生するのが無機汚泥です。
産業廃棄物の中で全体の約40%を占める汚泥。そのうちの90%程度が濃縮・脱水・焼却などで減量化されますが、再生利用率は7%程度と、産業廃棄物の中でもとりわけ低くなっています。循環型社会を目指して資源の循環的利用を推進していることや、埋め立て処分地が不足していることからも、再生利用率を高めることが求められています。
種類によって異なる汚泥の処分と再利用法
汚泥はその種類によって、処分や再利用の過程が異なります。
有機汚泥で最も多いのが、下水処理の過程で発生する下水汚泥です。その大部分(約97%)は水分ですが、固体部分は主に下水処理過程で有機物を分解・同化して増殖した微生物菌体です。そのため、水分を適切な方法で取り除くことができれば、植物のようなバイオマス(再生可能な生物資源)として扱うことが可能になります。下水汚泥に次いで発生量の多い、紙・パルプ業由来の汚泥は、脱水後に焼却処分されるため、焼却時に発電などの形でエネルギー回収がされる場合も。また、焼却灰は土壌改良材やセメント原料、路盤材等に、食品工場等で発生する汚泥については、他の粗大有機物(消費期限切れの食料品など)とともに堆肥化され、それぞれ再生利用されるケースが増えています。
無機汚泥の中で大きな割合を占めるのが、建設工事で掘削を行った際に発生する建設汚泥です。建設汚泥は、「建設汚泥の再生利用に関するガイドライン」(平成17年)において、「発生抑制の徹底」、「再生利用の促進」、「適正処理の推進」、さらに、「建設汚泥再生品の積極的な利用」に努めることが基本方針とされています。その再生利用としては、焼成・溶融処理によって各種土木資材とする方法や、脱水・乾燥処理またはセメント等の固化材を添加して安定処理することで盛土材や埋戻し材とする方法があります。浄水場汚泥やメッキ工場等で発生する汚泥についても、近年はセメント原料や各種用土などへの利用やメッキ汚泥に含まれる金属の回収を目的とした設備の開発・実用化が進んでいます。
汚泥は再利用できる?国を挙げての環境対策
汚泥は産業廃棄物でありながら、その処理方法によっては資源やエネルギーとして再利用することが可能です。循環型社会の構築を進める上では、処理・加工技術の開発や向上により、再生利用率を高めることが求められています。そのため、国でも新技術の開発を進めるプロジェクトが実施されています。
産業廃棄物の処理について分類等に迷った場合は、行政に相談してみましょう。また、その処理は専門業者に委託することが一般的ですので、産業廃棄物処理業者として正しく許可を得た企業を選ぶことも重要です。取り扱う産業廃棄物の種類は業者によって異なりますので、各社に問い合わせをしてみるとよいでしょう。