ゼロ・エミッション(ぜろみっしょん)
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ゼロ・エミッション~何をゼロにする運動?
ゼロ・エミッションは、すべての廃棄物をリサイクルもしくは再資源化し、排出物を可能な限り最少化しようという環境運動です。1992年のリオで行われた地球環境サミットで採択された行動計画「アジェンダ21」の「持続可能な発展」を実現するための方策として、国連大学によって提唱されました。生物の排出物や死骸がすべて、ほかの生物の食物となってつながっていく食物連鎖をモデルに、ある産業もしくは企業から出た廃棄物や副産物を、他の産業分野の資源として活用する連鎖をつくり出すことで、廃棄物をゼロに近づけていこうという取り組みです。
日本におけるゼロ・エミッションは、1997年度に創設された「エコタウン事業」に、企業間の連携が効率的に行われるように支援制度が設けられたことで大きく推進してきました。環境問題に対する関心が高まる中、切実なごみ問題や地域経済の活性化などの課題に直面する自治体などが、積極的に力を注いでいます。
大手企業を中心に進むゼロ・エミッション活動。例えば?
ゼロ・エミッションの達成には、各企業や団体における廃棄物の低減、産業間・企業間の連携による廃棄物の再利用・資源化に加えて、その上流過程にある廃棄物を出さないモノづくりにも着目して取り組む必要性があります。製品の設計から、原材料の調達、製造を行う過程、さらに物流においても、エネルギーや資源の有効活用と排出の低減に努めることが不可欠です。
現在、食品、電気機器、建築、化粧品など、さまざまな分野の大手企業が、環境活動の一つとして、それぞれの指針をもとにしたゼロ・エミッションへの取り組みを発表しています。工場や事業所におけるゼロ・エミッションをはじめ、自動車分野では、走行時に二酸化炭素を排出しないゼロ・エミッション自動車の普及を掲げるメーカーも。産業分野におけるゼロ・エミッション活動は、さまざまなアプローチから活発に進められています。
また、東京都では、2019年10月から「家庭のゼロ・エミッション行動推進事業」が実施されます。これは、冷蔵庫やエアコン、給湯器の買い替えに際し、金券などに交換できるポイントが付与されるというもの。産業社会のみならず、ゼロ・エミッションが広い意味で浸透することで、さらなる環境活動の広まりが期待されています。