環境リテラシー(かんきょうりてらしー)
目次
環境リテラシーとは
環境問題を的確に理解し、判断する能力を意味する環境用語。リテラシーとは、本来読み書きをする能力を指しますが、その分野の応用、活用力、理解力までを意味しています。
1987年のユネスコと国連環境計画(UNEP)が開いた世界環境会議では、すべての人が環境リテラシーを身に付けることの重要性が示されました。北米環境教育協会では、環境リテラシーを表す4つの基準として、「個人・市民としての責任」、「係争中の環境問題を理解したり話したりするための技能」、「環境的なプロセスやシステムの知識」、「質問や分析技能」を挙げています。また、米国環境保護庁(EPA)は、「環境リテラシーは、環境教育プログラムの望ましい所産である。環境的なリテラシーを持った人は、生態系と社会・政治的システムの両方を理解し、環境的な質の向上に向けての重要性を主張する意思決定のために、その理解を適用しようとする意向を持つ」と定義し、環境教育の重要性やその本質を示すキーワードとして認知されています。
環境リテラシーを高めるために
さまざまな環境問題においては、実証されていないことも多く、事態の深刻さを不正確な情報と共に理解してしまう可能性も否定できません。そうした中で、過剰に不安を感じたり、事態を軽視したりしてしまうことも。誤った理解をしないために、実態を冷静に判断して、必要に応じた対処ができる順応性も、環境リテラシーの一つと言えます。
こうした能力を身に付けるために求められているのが、環境教育や環境学習の拡充です。環境教育という用語は、1948年の国際自然保護連合(IUCN)の創設総会に用いられたと言われています。日本において、その必要性が認められるようにはったのは1960年代頃。深刻な公害問題や自然破壊に対する解決的手段として取り上げられました。近年では、国際的な議論のテーマとなっている「持続可能な社会」を構築するための環境教育が求められています。文部科学省は、「国民が様々な機会を通じて環境問題について学習し、自主的・積極的に環境保全活動に取り組んでいくことが重要」と提唱。特に、21世紀を担う子供たちへの環境教育は極めて重要な意義を有するとし、教育現場における取り組みを紹介する環境学習フェアや、あらゆる場で環境教育が実践されるための指導者を養成する研修制度など、さまざまな取り組みを実施しています。