エコタウン事業(えこたうんじぎょう)
目次
「エコタウン事業」創設の目的
エコタウン事業は、1994年に国連が提唱した、資源の相互利用を通じてあらゆる廃棄物をゼロにすることを目指す「ゼロ・エミッション構想」に基づく日本独自のプロジェクトです。
制度化の背景には、経済成長に伴って社会問題化していた廃棄物問題が挙げられます。課題となったのは、最終処分量の低減と適正処理の推進、資源の相互利用を行う技術や設備が積極的に導入されることによる不況の続く素材産業などの拡大、さらに低迷する地域経済を活性化させる仕組みづくりです。これらの実現のために「環境調和型のまちづくり」が掲げられ、エコタウン事業が1997年度に創設されました。
具体的な内容としては、都道府県又は政令指定都市がそれぞれの地域の特性に応じて作成した計画に対して、環境省と経済産業省が共同承認を行います。承認を受けた計画に基づいて実施される事業について、国が総合的、多面的な支援を行うものです。
企業だけでなく地方自治体にも?取り組みの一例とは
事業による効果には、製造業をはじめとするモノを生み出す動脈企業による静脈事業への進出、廃棄物処理業からリサイクル産業への事業拡大が挙げられます。さらに、地域での資源循環を通じて、CO2などの温室効果ガスの排出量を低減する「低炭素化」も実現しています。例えば、重化学工業の発展と共に成長してきた神奈川県の川崎市では、廃プラスチックのリサイクルや水素エネルギーの生産、供給などを行う取り組みがあります。
また、政策の一環として、資源循環のための技術開発や社会実証が行われました。秋田県の小型家電リサイクルの取り組みや、愛知県のリサイクル事業・技術の創出などの取り組みがその一例です。
エコタウンに係る事業や取り組みは、研究開発やまちづくり、人材の育成にもつながり、地域を大きく発展させるエネルギーも秘めています。市民との協力を契機に、地域全体の環境意識の向上につながるという期待も高まっています。
承認第一号の北九州市や、豊富な水力発電を強みとする富山市では、海外視察者も増加。環境産業の振興によって培った高度な技術を踏まえて、海外都市とネットワークを形成したり、国際協力や国際ビジネスにつなげたりと、エコタウン承認地域としてブランド化する地域や自治体に、国内外から注目が集まっています。