循環型社会(じゅんかんがたしゃかい)
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なぜ社会に「循環」が求められるのか
多くのモノに恵まれた戦後は、便利で豊かな生活を送ることが可能になった一方で、限りある資源やエネルギーを大量消費すると共に、天然資源の枯渇、環境破壊、ごみの増加による廃棄物処理場の不足など、さまざまな問題に直面することになりました。大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済社会から脱却するために、解決策として政府が掲げたのが、環境への負荷が少ない「循環型社会」の形成でした。2000年6月には「循環型社会形成推進基本法」が制定され、廃棄物やリサイクル政策の基盤が確立することになりました。
同法律によると、循環型社会とは、「製品等が廃棄物となることが抑制され、並びに製品等が循環資源となった場合においてはこれについて適正に循環的な利用が行われることが促進され、及び循環的な利用が行われない循環資源については適正な処分が確保され、もって天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会」と定義されています。さらに、循環型社会を実現するためには、「リデュース(Reduce:ごみを出ないようにする)」、「リユース(Reuse:繰り返し使う)」、「リサイクル(Recycle:使ったものを資源として再利用する)」の3Rを推進する取り組みが不可欠で、その技術とシステムの高度化の必要性も訴えています。
海洋プラスチックごみ問題とは、何が問題?
近年は、マイクロプラスチックによる海洋生態系への影響が懸念されています。1950年代以降生産されたプラスチック類は、83億トン超。そのうち63億トンが、ごみとして廃棄されたという報告があります。また、毎年約800万トンのプラスチックごみが海洋に流出しているという試算や、2050年には海洋中のプラスチックごみの重量が魚の重量を超えるという試算もあり、世界的な環境問題として各国が取り組みを進めています。
日本においては、海岸で回収されたペットボトルの製造国別割合(環境省)を見ると、全国10ヶ所の調査のうち、外国から漂流した物が大半を占める海岸が多いものの、北海道の根室では70%以上を国内から排出された漂着物が占めていることがわかっています。政府は、プラスチックの資源循環体制の構築のため、「3R+Renewable(再生利用)」を基本原則に、レジ袋有料化の義務化をはじめとする施策に取り組んでいます。
また、使い捨てのプラスチック製ストローやマドラーの廃止、紙・バイオマスプラスチック製品に代替するなど、航空業界やホテル業界、飲食業を中心する取り組みや、各方面でのプラスチック使用削減の取り組みが広がっています。