検視(検死課)(けんし)
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検察官の仕事「検視」とは
検視とは「1.事実を明らかにするために、事件の現場などをくわしく調査すること。2.検察官などが、変死者または変死の疑いのある死体について、その死亡が犯罪によるものかどうかを調べること(デジタル大辞泉より)」とされています。つまり、病院以外の場所で亡くなった場合や、かかりつけの医師が診察に関連した疾病が死因であると断定できない場合などに、検察官と医師が遺体を確認し、犯罪の疑いや事件性を判断することを指します。
原則として検察官が行うことになっていますが、検視官と呼ばれる司法警察員が代行することも可能です。検視官になるためには刑事として10年以上、もしくは殺人事件などの捜査に4年以上の経験が必要になり、警察大学校で法医学などの専門教育を受けなければいけません。
このように検視官への道が非常に狭き門であることなどから、検視を行う人材の人手不足が問題視されることも多く、原因不明な死や孤独死が増えている現代において、検視官のなり手を増やすことの重要性が取り上げられることもしばしばあります。
かかりつけ医がいない人の死は、どこに連絡すべき?
例えば近年増えている孤独死のような場合には、誰にも知られることなく自宅で息を引き取り、死後かなりの時間が経過してから発見されるケースも多くあります。そのような場合、所持品などから既往歴があったのか、その疾病以外に死因に結びつくような疑問点はないか、つまり殺人などの事件性や自殺、事故死、災害による死などの可能性がないかを判断するために遺体をくまなく調べます。
なお、家族や親しい人が自宅で亡くなる瞬間を看取った場合、診察後24時間以内で、診察した疾病による原因で死亡したことが確認されれば、死亡診断書を受けることができます。
ただし、かかりつけ医がいない、連絡が取れないなどのケースでは、検視が必要となるので、警察へ通報する必要があります。看取った人や第一発見者は、警察からの事情聴取などに応じ、遺体は警察署へ安置されて検視や検案を受けるというのが一般的な流れです。
検視を経て、犯罪性などがないと判断されると、死体検案書が交付されますので、遺体を引き取り、葬儀の手配などを進めることができます。
なお、同義語として「検視」のことを「検死」と表記されることもありますが、欧米では解剖も含めて「検死」と称するという見解があるなど使い分けが曖昧なため、日本では「検視」と表記することが多いようです。